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2021年8月6日スタッフブログ

【仏具】新調か修復か?<その1>

このような仕事をしておりますと表記の問題に出会います。
その都度状況を見ながら最善の方法をお勧めできるよう努めておりますが、中には修復が不可能で新調せざるを得ないものがあります。
仏具の種類によってもいろいろです。少しこのことについてお話ししましょうか。

まず、「鳴り物」と呼ばれる仏具についてです。

① リン

基本的に地金の肌むき出しのものについては変色します。研磨用のケミカル材が広く流通しておりますが、残念ながら磨いてもきれいにならないケースが多々あります。金属加工ができる工房では「バフ研磨」という手法を用いることができますが、ご家庭ではまず無理でしょう。この場合、耐水ペーパーの荒い番手(#500以下)から徐々に細かいものに替えながら表面の汚れ(正確には酸化膜なのですが)を除去していかなければなりません。しかし手も汚れますし荒れも出てきます。弊社ではお持ち込みいただいたおりんを研磨させていただいております。
さて。
次はリンのひび割れについてです。ひび割れるとまず音は鳴りません。修復も可能ですが時間と費用が掛かりますので一定以上の寸法のものについてのみお勧めしております。一般のご家庭で所有されている小さなものは買い替えの方がよろしいかと思います。もちろん、思い入れのある品であれば丁寧に修復させていただきます。

② 木魚・木柾

木魚は浄土宗一般・禅宗・天台宗などで用い、木柾は日蓮宗一般で用いる鳴り物です。ご住職がおいでになった時以外はあまり使われることがないかもしれないので「久々に出してみたら傷んでしまっていた」というケースが時々あります。
塗り製品の塗りの損傷については修復をすることが可能です。弊店までお問い合わせください。
さて、問題はひび割れた場合です。「なんとか元通りになりませんか?」とおっしゃるお客様もいらっしゃいますが

すみません。難しいです。

外見上だけなら何とかなりますが、元の音色を再現するのはまず不可能かと。
これには理由がありまして、先に申し上げたリンの修復であれば材料を溶かし込むことでヒビをふさぐことができるのですが木魚の材料は天然の木材です(一部プラスチックも流通しているようですが)。どうやっても元通りの仕上がりにはできません。私が浅薄な知識しか持ち合わせていないだけなのかもしれませんが、ひび割れた木魚については新調をお勧めしております。

あれこれ書いておりましたらスペースが長大になりそうです。
今日のところはここまでで(笑)。