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2023年4月8日スタッフブログ

【位牌】手彫りと機械彫り

今このブログを書いているのは4月7日(金曜日)です。一日雨模様。これで京都市内の桜は散ってしまうのでしょうね。先ほど天神川という川に沿った道を通ってきましたが、道には一面の花びらが落ちておりました。これからは新緑の季節になります。市内の観光客は相変わらず多いですが、コロナ感染者数がジワリと増えておりますのも不気味に感じます。5月にはこの感染症も5類に移行するとのことですので、以前のように医療機関が混乱することもないのかもしれません。

先日、お位牌の「彫足し」を発注されたあるお客様がこのようなことをおっしゃいました。

「もともと彫られているこの手彫りの字、位置がおかしくないですか?」

確かにそう感じます。左右のずれもさることながら、全体が斜めになってるような??

人間のすることですからそれも「味」なのかもしれませんが、それでもやはりお施主様からすれば納得いかないのでしょう。職人さんの技術レベルによっても差が出てしまうのでしょうね。弊社も手彫りの職人さんに依頼をすることがありますが、比較的ずれや乱れは少ないと思います。ただ、依頼する絶対数は少なくなってきています。納期の問題(手彫りは長め)や金額の問題も絡んで「機械彫りでいいか」となってきているのです。

機械彫りの文字は整然と並んでおり、0.1mm単位の位置制御を行いますので精密な加工が可能です。その反面「整いすぎて温かみがない」といえばそうなのかもしれません。

整然と並んだ画一的な文字
人の手による変化に富んだ文字

どちらが良いとは言えません。
かつて池波正太郎という作家が「この世は白黒はっきりしたものは少ない。灰色が大半である」とそのエッセィの中で書いていました。どちらかに決めるのではなくいずれも末永く残す。我々伝統産業に従事する者としては胸に刻んで然るべきことかもしれません。