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2021年7月6日スタッフブログ
寺院用の調度品を納品いたしました
京都では64歳以下の方々への接種が始まりましたが「ワクチンが足りない」「接種予約の取り消しを余儀なくされた」などのニュースが流れております。でもこれは本当に必要な方々(=高齢者・持病をお持ちの方・医療関係者など)に対して相当なスピードで接種が行われたことの証左にもなるのではないでしょうか?自分の順番を気長に待ちたいと思います。
先日、とあるお寺に金襴製品をお届けいたしました。
本来は問屋さんなどに仲介していただくのが本筋ではあるのですが、ご要望の仕様がかなり込み入っておりましたので自分で絵図面を作成して職人さんのところに直接お話をさせていただいた経緯があります。お話をいただいて約半年。ようやく形になって実際に設置をしてみることになりました。
まあしかしこの瞬間が一番緊張いたします。念には念を入れて準備をしたつもりでも予想外のことが起きるのもこの仕事の常です。
「それはお前がちゃんと考えてないからやんか!(# ゚Д゚)」
・・・その通りです・・・。
今回は取り付け位置の微調整等で何とか形になりました。とりあえず一安心です。
一部分ではありますが金襴地の画像をば。
これは「蜀甲柄」と申します。
八角形と四角形を組み合わせた柄をこう呼びます。中には唐草を配置してあります。
もともとは三国志で有名な「蜀」の国に伝わる錦の柄であるといわれております。
これだけでは面白くないなぁ・・・と思っておりましたらご住職から「寺紋をどこかに配置できないか?」とご提案がありました。型紙を作成すれば対応可能とのことで、職人さんにはお手間でしたがこのご要望もクリア。無事に仕上がってきました。
今回はもう一つ、我々仏具関係で通常では行わないことをしでかしました(笑)。
お寺に職人さんをご招待しました。
職人さん曰く「数十年仕事をしていても、自分の手掛けた製品が設置されているのを見たことがない。どこのお寺に納品したのかも教えてもらえない。」そうで、自分としては相当な違和感を覚えたからです。もちろん、工房とお寺が直接つながりを持つことに危機感を持つ業界関係者もおられるでしょう。しかし我々仏具屋のノウハウは製品を納品するだけではなく、むしろその先にあるお施主様に対する手厚いサービスにあります。私自身、これには相当の自信を持っております。それに職人さん方にはご自分のお仕事に誇りを持っていただきたい。そういう思いでご招待いたしました。
会社勤めをしていたころ、設計職でありながら現場に立ち入って様々なことを学びました。
技術をお持ちの職人さん方あってこその我々です。「橋渡し」だけではなく、皆で協力して一つの仕事を作り上げていくのが大事ではないでしょうか。そのためには妙な縄張り意識だの、「発注者と下請け」という垣根だの(っていうか、『下請け』っていう言葉は非常に失礼じゃないですかね?)は越えていかなければこれからの時代はやりくりできなくなっていくと思います。
今回は特に職人さん方に勇気をいただきました。今後も誠心誠意、与えられた仕事に取り組んでいく所存です。