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2025年3月15日スタッフブログ
歴史に学べないヒトビト
むかしむかし、ある国に貧しい王族の末裔がいました。数十人もいる跡取り候補から抜きんでることもなく生涯を終えるものと思って過ごしておりましたところ、王家とのつながりを欲していた地元の裕福な商人がこの男に自分の妾(めかけ)を与えて恩を着せます。しかし婚姻を結んだ時にはすでにこの妾は身ごもっており、その後男の子を生みます。商人の狙いは王族の後継者として自分の実子を奉り実権を握ることでした。
しかしその後、商人の権勢を得て王になった男(偽りの父親)は周囲の国から攻められ、妻子を捨てて自国から逃げ出します。少年は死の恐怖と対峙しながら母とともに隠遁~逃亡の毎日を送ります。このことがのちにこの少年の性格を決めたといっても過言ではないでしょう。疑い深く策略家。決して人に心を許さず用心に用心を重ね、彼は権力を手に入れます。そしてのちに周囲の国を制圧して一大帝国を作り上げました。その冷徹さは時にすさまじく、不始末を犯した自分の身内すら許さないほどでした。現に自分の実の父母を幽閉した挙句、そののち豪商であった実父は自害しています。
彼の名は「政」といいます。そう、秦の始皇帝です。「キングダム」という漫画は彼とその取り巻きをモチーフとしたものですが、現実はもっともっと陰惨なものだったでしょう。幾度となく命を狙われても、彼は自分自身の機転で切り抜けています。「始皇帝暗殺」という映画はフィクションも組み込まれていますが史実として残った書簡をもとに製作されました。実は彼の名にあやかって、「国を治めること・民衆を正しい方向に導くこと」=「政治」の語句が生まれたというほんとかウソかわからない説まであります。そういえば「政」の字の訓読みは「まつりごと」でしたっけ??
すべてを手に入れたかと思われた始皇帝でしたが、彼の不満・苦悩はまだ残っていました。彼が望んだのは「永遠の命」「不老不死」でした。手に入れた権力をいつまでも手中に収め続けなければならないという欲望・・・というか渇望です。そして彼は不老不死の妙薬を求めて長い旅に出ましたが、結局見つからずその途中で客死してしまいます。そりゃそうですよね。そんなものあるはずがないんですから。
さて、人類の歴史は戦いの歴史でもあります。欲望は時に理性を超え、おびただしい数の命が犠牲になります。
第2次世界大戦が終了したのちも世界各地で戦争が絶えることはありませんでしたが、それは私たちにとって遠い地の物語のようにも思えました。テレビの映像を見てもあくまでも他人事ととらえていたような記憶があります。それでも日本人にとって平和で幸せな時代が長く続いたことはありがたいことでした。
しかし現在、(あえて名前は言いませんが)3つの大国が互いにけん制し、覇権を争う時代に突入しています。これらの国に共通するのは「独裁的な指導者による自国第一主義」もっといえば「自分第一主義」のイデオロギーです。「よその国や他人の事情なんか知ったこっちゃあるかい。自分の国(もしくは自分)だけ得してうまくやっていけたらそんでええねん。」・・・それ、本当に正論ですか?で、それを実現したところでいつまで続けられるんですか?秦だって始皇帝の没後、急激な衰えを見せて滅亡してしまったのですから。
始皇帝の時代から2千年もたつというのに、いまだ人間の業はおんなじところをぐるぐる回っておるのだなぁ・・・と呆れるばかりです。まあ、独裁者によるまつりごとを「政」治というのならば、始皇帝の時代から何ら変わるところはない・・・もしかしたら彼らは始皇帝よりも劣化した指導者の可能性だってあります(笑)。
できればこういったまがまがしい大きな流れに飲み込まれたくはないものです。政治家の皆さんに頑張っていただくのはもちろんのこと、そろそろ私たちもきちんと「政治」というものに目を向け、まじめで有能な政治家を選ばなければいけない時が来たのかもしれません。
(あんまりにも書くことがなくってこんなことをつぶやいてみました)