新着情報
2026年3月14日スタッフブログ
So long,America
ベトナムの反戦映画として有名なのは、ロバート・デ・ニーロが主演しクリストファー・ウォーケンが脇を固めた「ディア・ハンター」、それからフランシスコ・コッポラがメガホンをとった「地獄の黙示録」などでしょうか。
そんな映画に隠れてあんまりなじみがないかもしれませんが、’Good Morning ,Vietnam‘というベトナム戦争を主題とした映画があります。名優として知られた故ロビン・ウィリアムスが主演を務め複数の賞にノミネートされました。
舞台は当然ベトナムですが、主人公の肩書は一風変わっています。一応空軍の軍人ではありますが、現地で戦う米兵に向けたラジオ番組のDJとして赴任してくるのです。退屈な抑揚のない語り口とワルツやポルカなどの陳腐な音楽を流し続けていたそれまでのラジオ番組を彼は一変させます。
「グゥゥゥゥゥ~~~~~ッモォォォ~~~~~ニン!ビエットナァァァ~~~~ンゥ!!」
赴任一発目の第一声で彼は絶叫します。速いテンポの軽快な語り口、アメリカンロックをガンガン流し続ける彼のスタイルは戦地の兵隊たちに熱狂的に迎えられます。しかし「風紀や統制が乱れる」との理由から、上官は全く面白くありません。次第に反感を買うようになっていきます。
主人公はベトナムの地でもアメリカ人としてのスタイルを変えません。好きになったベトナムの女の子をこれでもかというプレゼントを贈って口説きにかかり、彼女のお兄さんに制止される始末。それでもあきらめないのは彼が生粋のアメリカ人だったからでしょう。
しかしそんな日々にも終わりが来ます。度重なる上官の執拗な嫌がらせに辟易していたころ、口説いていた女の子の「兄」という人物が敵方の工作員であることが判明します。「スパイとの密通」の嫌疑をかけられた主人公の立場は悪化。その工作員に主人公はこう問いかけます。
「友達だったんじゃないのか?!信じていたのに!」
・・・それに対し工作員はたどたどしい英語で悲しげにこう返答します。
「アメリカ軍の攻撃で、俺は自分の母や大事な人たちを亡くした。俺の兄はまだ29歳だった。アメリカは俺たちベトナム人を人間と思っていない。俺たちの敵はベトナムを戦場に変えた君たちだ。」
経済支援と制裁のアメとムチ、そして民主主義・資本主義という自分たちの価値観を武力で押し付ければその地域の人間は納得するし幸せ、自分側の友好国として再生できる。アメリカという国はこの考え方を全く変えずに戦争で失敗し、負の連鎖を繰り返してきました。ベトナムから30年後には湾岸戦争が勃発します。湾岸戦争があくまでもイラクのクウェート侵攻に端を発したとはいえ、これがその後の9.11に続くとは誰も思っていなかったでしょう。湾岸戦争時にサウジアラビアに米軍基地が置かれたことで、アメリカがイスラム教の本質を理解せず故郷を蹂躙していくと感じたビンラーディンは強い憎悪の念を抱き反アメリカの立場を鮮明にしたといわれています。そういった意味ではあのようなテロが起こった責任の一部はアメリカ自身にもあるといえます。その後アフガニスタンでの戦火。そして「イラクが大量破壊兵器を隠蔽している」との理由から唐突にイラク戦争がはじまります。
恐ろしい話ですが、アメリカがおおよそ30年周期で戦争を行うのは武器弾薬の耐用年数が関係しているという話を聞いたことがあります。都市伝説だと信じたいですが、ベトナムが1960年代、湾岸戦争~イラク戦争が1990~2000年代、そして今度はイラン。今回の20年そこそこでの仕掛けは電子装備やドローンの台頭による戦略の急激な変化に伴い武器のアップデートのペースが速くなっているからか・・・というのは考えすぎでしょうか?
今回の対イランの戦争もそこそこで手打ちにしないと、アメリカは近い将来必ず手痛いしっぺ返しを食らうでしょう。相手の文化や宗教、習慣、そしてそもそもそこに暮らす人たちの尊厳を大事にすることがいまだにできない国を率いているあの老人が「自分は裸だ」と認める日は来ないでしょう。そろそろお付き合いの仕方を考える必要があるのかもしれません。
’So long,America’ …「またね、アメリカ。」
Facebook
Twitter
LINE