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2025年8月16日スタッフブログ

すぐそこにある危うさ

やってみせ 言うて聞かせて させてみて 褒めてやらねば人は育たぬ

かつて塾講師(とはいっても本業の傍らのアルバイトでしたが)をさせていただいていたころ、この言葉をいつもどこか頭の隅っこに置いておりました。「あれをしろ、これもやらねばならない」と上から目線で命じるのは簡単ですが、教えられている側からすればこんな迷惑な話はありません。寄り添うにあたって非常に深い言葉だなぁ・・・と思います。

この言葉を残した人物は 山本五十六 という方です。太平洋戦争中は海軍の総司令官として指揮を執りましたが、搭乗中の飛行機がアメリカ軍に攻撃されて落命しました。この時すでに日本軍の暗号が米軍側に解明されていたために様々な情報が筒抜けだったことが、撃墜の一因ともいわれています。

この山本さん、真珠湾攻撃の計画を練った責任者ともいわれています。この奇襲攻撃の彼の個人的な狙いはあくまでも「アメリカとの和平交渉について有利な状況を作り上げる」ことでした。ハーバード大学への留学経験もある彼には、アメリカという国の膨大な国力がしっかりとした知識として脳内に刻まれていました。戦争が長引けば長引くほど日本は不利になる・・・・しかしその後に続く一定期間の戦果に気をよくした政府側の間違った方策により、彼の目論見は打ち砕かれてしまいます。何とかしたいという思いはあったでしょうが、職業軍人として命令に歯向かうことはできなかったのでしょう。

「学徒動員」の話を詳しく持ち出すまでもなく、日本は太平洋戦争で本当に優秀な人材を多数失いました。現在のように理性的に考えられる状況であれば、なんという愚かなことをしたのかと声高に言うことができます。

終戦記念日になると毎年行われる行事やテレビ番組を見るにつけ、なんとなく「形骸化している」ように感じます。遠い昔にそんなことがあったんだな・・・そのくらいにしか感じないのが正直なところです。

今や様々なところで新たな戦争が勃発しています。本当に 言うて聞かせる だけでおさめることができるのかと考えたとき、絶望に似た感情が沸き上がってきます。もう一度、政治家の皆さんは「既得権益の自己保障」や「お金集め」や「自己保身」に専念しないで将来を見据えた政治を行ってほしいものです。